洗濯機には、約二週間分の洗濯物が溢れ返っています。
外はじめじめとしているらしく、除湿機が休みなく全力で稼働しています。
三年以上住んでいるのに、なかなか把握できないゴミの日のために、
ペットボトルが部屋中に転がり、ジュースの缶が机いっぱいに並べられています。
読む予定もなく買った古本たちは、すでに本棚から除け者にされ、
蚊帳の外に無造作に積み上げられています。
クローゼットには、着もしない服があります。
片付けたいと思いながらも、やる気が起きず、
いつになっても乱雑に押し込まれたようになっています。
それが心にいつも引っかかっていて、見るたびに気分を重くします。
テレビデオのビデオで、久しぶりに録画した動画を再生したら、
壊れていたことに気づきました。
購入してから彼是七年の月日が経とうとしていますので、
とうとう時期が来たか、と思うばかりです。
デール・カーネギーの啓発書は、あるページから読まなくなってしまいました。
ためにならない、ということではなく、自分としての思考が、
啓発書などに頼るな、と以前の弱気な精神を否定し始めたからです。
その半分くらいのページにしおりが挟まれた、
いつまでも『今読んでいる本を置くスペース』に放置されている本を見ると、
着もしない服が気になるのと同じように、どこか心に引っかかります。
掛け布団のカバーやシーツは、もともとクリーム色をしたものでしたが、
今は長年洗ってないために、黄ばんでしまっています。
外に置きっぱなしのサンダルは、今どうなっているかわかりません。
この前、友人が訪れた時には「なんか汚いな」と言っていました。
それでも、ぼくは何もしていません。
Yシャツがいつまでも、自分が使われる日を待っている、といったふうに、
ぼくのことを見つめてきます。
ごめんね、君はもう不要だよ、とは言えません。
いつか、着てあげるよ、と口では言っておきます。
ぼくは、そんな部屋とお別れをし、一人歩き出しました。
外は雨のようです。
暗く、冷たく、雨が降っています。
三日間も、部屋に閉じこもっていたので、気がつきませんでした。
今、ぼくは、暗く、じめじめとした炭坑のようなトンネルを歩いています。
周りには、何人か同じ方向に歩いている人が見えますが、
暗がりのため、はっきりとしません。
それでも、誰かの足音が聞こえていると、
どこか励まされた気分になり、一歩一歩進むたびに力が湧いてきます。
君に会える日は、いつのことだろう。
君は待っていてくれるかい。
そうだ、ぼくが進んでいる限り、
君に近づいているのだし、止まったとしても、君は逃げていかないんだ。
ああ、少しだけど、光が見えてきた気がします。
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