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旅人の病記

自分に負けないように。

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日常生活の冒険

大江健三郎の『日常生活の冒険』を読み終えました。

冒頭の文章から、いきなり心魅かれ、最後まで読みました。

ぼくは好きです。

感想文は、面倒ですので、書きません。いや、書けません。
(一般的に言うと、よくわからない、
いや、何もわかってない、というやつです。バカなんです)

ただ、印象的なことはあります。



この作品は、

冒険的に生きようとした斎木犀吉(さいきさいきち)という

主人公の友人について書かれた伝説です。


これは

『日常的な主人公(ぼく)と冒険的な友人(斎木犀吉)』との関係性を

『画家のゴッホと親戚のモーヴ』に重ね合わせてます。
(個人的な捉え方です)



ゴッホは仲の悪かった従姉の夫であるモーヴが死んだ際、従姉に絵と手紙を送っています。

手紙には、詩が書かれています。

『死者を死せりと思うなかれ
生者(しょうじゃ)のあらん限り
死者は生きん 死者は生きん』

ぼくは、この詩がとても印象的です。短い詩なので、暗記しました。

意味は
『死者を死んだものと思わぬことだ
生きている者がいる限り
死者はその心の中で生きつづける

(君は死んでなんかいないさ
ぼくが生きている限り
君は、ぼくの中で生きつづけるのだから)』

というようなものです。

ゴッホはモーヴと仲が悪くても、どこか心に引っかかっていて

友人だと思っていたのでしょう。

主人公と犀吉(さいきち)も時にケンカをし

仲も悪くなっていたけれど、友人でした。

犀吉は、遠く離れた異国で自殺してしまいます。

そんなときに主人公(ぼく)は、反芻するように、心の中でゴッホの詩を呟きます。

『もう死んでしまった友人の言葉や行動は、ぼくの心の中で生きている。
そう思うと、友人が死んでしまったと思うことができない。
そんな時、死者は生きん 死者は生きん』

こんなことを思ってくれる友人がいるというのは、幸せなことではないでしょうか?



標題にもある肝心な『冒険』について、ほとんど触れませんでしたが

友人の犀吉(さいきち)が冒険的な生き方をしていた、

そして日常的に縛られた生き方ができない男だった、

ということに留めておきます。

時間があったら、冒頭部分だけでも読んでみませんか?



「きょう、ママンが死んだ」という冒頭以来、ぼくは心を魅かれましたよ。

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